野菜の栄養成分が減ってしまった理由2

野菜の場合には、農薬や化学肥料が多く使われると、これらは野菜の中にも取り込まれていきます。植物は内部の有害物質が増えると、これをビタミンによって中和したり、破壊したりする作用があります。現在の野菜はビタミンが減っているというわけですが、農薬などには野菜の中にも残り、それを食べた人間の身体にも入ってきます。その農薬なども体内ではビタミン、ミネラルが使われて解毒されています。品種改良と土壌の変化による野菜そのものの栄養不足だけでなく、二重の理由によってビタミンが不足した状態になっているというわけです。
こういった状態を考えると、腸内の善玉菌を増やして対処したいところですが、もう一つ、土と根の関係を例にして伝えなければならないことがあります。それは日本人は腸の温度が低く、善玉菌が増えにくい体質となっていることです。
腸は身体の中に納まっているわけですが、口から食道、胃、十二指腸、小腸(空腸、回腸)、大腸(結腸、直腸)、肛門とつながっていて、両端が外にある1本の筒のように考えることができます。身体の外側は皮膚に包まれているのに対して、腸壁は粘膜となっています。皮膚の奥には毛細血管が張り巡らされていて、血流が盛んになると温かな血液が次々と送られてくるために皮膚の温度が保たれるようになっています。この仕組みからいうと、手足が冷えやすい人は血流がよくないということがいえます。
土の中の微生物は冬よりも夏のほうが発酵は進みやすくなっています。これは土の中の温度が高くなることで微生物が活動しやすくなるからです。そのために温かな季節が旬の野菜は、その季節には栄養成分の吸収もよくなっているわけですが、これと同じことが腸の中でも起こっています。
腸壁も毛細血管が多く、血流が盛んになると温まりやすくなります。悪玉菌は温度が低くても活発に働いて増殖していくことができますが、善玉菌は温度が高めの環境でないと増殖しにくくなっています。そのため、腸が温まらないと善玉菌は増えにくく、発酵も進みにくくなり、ビタミン、ミネラルが吸収されにくくなってきます。
腸内細菌は総数がほぼ決まっていることから、善玉菌が減ると悪玉菌が増えていきますが、悪玉菌は腐敗を進めることによって有害物質(毒素)を作り出すことになります。この有害物質は肝臓の解毒作用によって分解されていて、そのときにビタミン、ミネラルが使われるので、ますますダイエットにも生活習慣病予防のためにも必要となる栄養成分が減ることになるのです。