コロナ対応のトリアージが医療現場以外でも始まった

新型コロナウイルス感染者が病院に搬送されたときに、重症度に応じて治療すべき内容が決められます。これをトリアージと呼ぶのだということは報道で伝えられ、随分と理解されるようになってきました。トリアージ(triage)は一般には重要で最初に扱うべきことを選別することで、医療現場では誰を先に治療するのか、どちらに医療の機器と人材を投与するのかを決定する意味で使われています。
医療スタッフや医療機器、医薬品などの医療資源が制約される中では、一人でも多くの人の生命を救うために患者の緊急度に応じて治療の優先順位が決められます。これは新型コロナウイルス感染に限った話ではなくて、また治療だけでなく救急搬送のときにもトリアージが行われます。本人としては死にそうなくらいに苦しんでいても診察、治療が後回しにされる「命の選別」は当たり前のように起こっていることです。
救急車が駆けつけてくれて、乗り込めば救われるものと思いがちですが、救急車は受け入れてくれる病院を探して、了解が取れてから動き出します。中には走りながら搬送先を探すということもあり、よく耳にする“たらい回し”の状態にもなります。近くの病院に運んでくれて、すぐに治療が受けられるわけではないのです。
新型コロナウイルスでは、この前にもトリアージが行われています。発熱があり、新型コロナウイルス感染の疑いがあるときには保健所を通じて病院に行くべきか、ホテルや自宅の待機かの選択が行われます。まだ感染者が今ほど多くなかったときには保健所の担当部署は感染者を入院させること、ホテル隔離を一生懸命にすすめていました。ところが、ここまで感染者が増えると今度は入院を望んでいる人の中から緊急に対応すべき人を選別する作業が中心になっています。
そもそもクリニックなどでPCR検査などによって陽性が確認されても、受け入れてくれる病院が見つからなくて自宅待機になっている人も急増している中では、何段階もトリアージが行われていて、自宅にいる間だけでなく、電話で相談している間に急変するということも起こっているのです。