発達栄養学67 子どものメタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームは日本語では内臓脂肪症候群と呼ばれていて、大人に起こるものと一般には認識されています。子どもにもメタボリックシンドームはあるのですが、その診断基準については、あまり知られていないようです。
先に大人のメタボリックシンドロームについて説明しておくと、その診断基準は16歳以降を対象としていて、腹囲が男性は85cm以上、女性は90cm以上になった場合に、検査数値の中性脂肪値が150mg/dl以上かHDLコレステロール値が40mg/dl未満の片方か両方を満たしている、収縮期血圧が130mmHg以上、拡張期血圧が85mmHgの片方か両方を満たしている、空腹時血糖値が110mg/dl以上となっています。
小児期(6〜15歳)のメタボリックシンドローム診断基準は、腹囲が小学生は75cm以上、中学生は80cm以上、もしくは腹囲を身長で割った数値が0.5以上になった場合に、中性脂肪値が120mg/dl以上かHDLコレステロール値が40mg/dl未満の片方か両方を満たしている、収縮期血圧が125mmHg以上、拡張期血圧が75mmHgの片方か両方を満たしている、空腹時血糖値が100mg/dl以上となっています。
小児期メタボリックシンドロームでは、男女での違いはなく、小学生か中学生かと学年(年齢)で分けられているだけです。
この診断基準が示されるまでは、小児期の肥満度が治療の基準となされていました。小児期の肥満度は実際の体重から標準体重を引いた数値を標準体重で割って、これに100をかけて計算していました。
「肥満度(%)=(実測体重)−標準体重」÷標準体重×100」
この計算式によって、幼児では15%以上が肥満児、学童期以降では20〜30%が軽度肥満、30〜50%が中等度肥満、50%以上が高度肥満と判定されていました。
メタボリックシンドロームは内臓脂肪が増えすぎることで、血管系の疾患リスクが大きく高まります。若いときから血管や全身の器官にリスクを抱えた状態で暮らしていかなければならないということを避けるために、小児期メタボリックシンドロームについて知っておいてほしいのです。