日本酒は米と麹、水を原料として作られています。吟醸酒、大吟醸酒が人気のようですが、日本酒好きは純米酒を好むといいます。ただ吟醸酒、大吟醸酒と表示されたものは醸造アルコールが加えられています。これは増量、品質調整、アルコール度数調整に使われるもので、吟醸酒や本醸造酒は白米の重量の10%以下の添加量と上限が定められています。
醸造アルコールというと、かつては“三倍増醸酒”なるものがあり、よくないイメージがありました。これは出来上がった日本酒の原酒の2倍の量の醸造アルコールを加えたものですが、今では二倍増醸酒しか許可されず、これは普通酒と呼ばれるものです。二倍増醸酒は原酒に同量の醸造アルコールを加えたものです。
こういった状況から「純米酒なら本物の日本酒ですね」と雑誌社の編集者に聞かれましたが、Yesとは言いにくいところがあります。日本酒の原酒はアルコール度数が20度(%)ほどで、今では製造法によって16度くらいのものもあります。日本酒の通常の度数は15度ほどとなっていますが、これは原酒に水を加えて薄めています。加えた水は日本酒ではないからと酒税がかからなければよいのでしょうが、水で薄めた後の日本酒に酒税がかかるので、「水に税金を払って飲んでいる」と言う人もいます。
醸造アルコールを同量だけ加えたら原酒は半分になると考えがちですが、醸造アルコールは100%アルコールなので、「(原酒20%+醸造アルコール100%)÷2=60%」となります。これを15%に薄めるときには3倍の水を加えることになります。
水を加えていないのが原酒です。吟醸酒、大吟醸酒にも純米のものはあり、原酒もあります。これを知ってから、前出の編集者は純米吟醸原酒を飲むことにした、と報告がありました。