20年間で食事によるエネルギー摂取量が減った

「平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」が厚生労働省から発表されました。これを見て、ネットメディアから、「どこが新しい点ですか」との問い合わせがありました。国民栄養調査の時代から、ずっと変遷を見てきましたが、新しいことというと「社会環境の実態とニーズの状況」という重点項目が新たに発表されたところと、参考資料の「エネルギー及び主食・主菜・副菜に関連した栄養素摂取量の年次推移」です。
これまで各年の発表データから年次推移を自ら作ってきたので、公式データの発表はありがたく、これから徹底活用したいものです。年次推移は平成7年から平成27年までの21年分ですが、国民健康・栄養調査結果で男女別のデータが発表されたのは平成11年からです。それまでの4年間の基礎データから男女別データを出し直したということです。
その中で、まず注目したのはエネルギー摂取量の平均値の年次推移です。平成7年から平成27年の間の変化は、20歳代は2,333kcalから2,222kcalに、30歳代は2,422kcalから2,161kcalに、40歳代は2,370kcalから2,168kcalに、50歳代は2,440kcalから2,186kcalに、60歳代は2,265kcalから2,180kcalに、エネルギー摂取量が減っています。これはメタボ対策や生活習慣病対策が成功したとも言われているものの、経済状態から食費が減っていることとも関係していると考えられています。
70歳以上だけは1,975kcalから1,986kcalに増えていますが、これはロコモ対策のための筋肉強化、生活習慣病対策の一環の血管強化のために、「高齢者は肉を食べろ」という栄養改善の施策が広まった結果と考えられています。