2025年4月1日から始まった定年退職年齢の65歳義務化、70歳までの雇用の努力義務化は、単に働く人が自分の健康に注意を払って働ければいいということではありません。
この定年延長は高年齢者雇用安定法に基づく高齢者就業確保措置によるものですが、55歳以上の高年齢者(高年齢者雇用安定法での定義)は加齢にともなう心身機能の低下が懸念されることから、特別の配慮が求められています。
その配慮期間は60歳定年では5年ほどでしたが、65歳定年では10年となり、70歳定年では15年となることから、これまで以上に健康・安全対策が必要となっています。
このような考えに基づいた継続できる健康づくりを実践するために岡山で設立したのが特定非営利活動法人(NPO法人)セカンドステージ連盟です。
働く人の健康づくりの施策は随分と前から行われてきました。私は働く人と家族の健康づくりの活動に長く関わってきましたが、1988年に労働安全衛生法が改正され、健康保持増進が事業者の努力義務となったことをきっかけにしてTHP運動が始まりました。
THPは 「Total Health Promotion Plan」の略称で、働く人の心身の健康づくりを目指して、企業が取り組む計画を指しています。
THP運動では、医師の診断に基づいて、栄養、運動、保健、心理の各指導が実施され、各分野の専門家(産業栄養指導者、ヘルスケア・トレーナー、産業保健指導者、心理相談員)が組織されました。そのうち産業栄養指導者会は私が所属していた病院栄養管理研究所が事務局を務め、私は事務局と講習・広報を担当していました。
また、THP運動の連携のためにTHP指導者会が設立され、これを構成する産業栄養指導者会、ヘルスケア・トレーナー会、産業保健指導者会、心理相談員会と連携して、広報も務めてきました。
2008年から特定健診・特定保健指導が始まりました。これは40歳以上74歳未満のすべての被保険者・被扶養者を対象に、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)予防を目的としたもので、結果に基づいて必要に応じて保健指導が行われています。
従来の健康診断は生活習慣病の早期発見・早期治療が重視されてきましたが、内臓脂肪の過剰蓄積による糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧などの動脈硬化の予防・改善が重視されることになりました。
特定健診・特定保健指導は企業で働く人と家族だけでなく、地域住民も対象として実施されましたが、地域住民への浸透度は低く、受診率の向上は重要なテーマとなりながらも進まない状態は今も続いています。
私が代表を務める特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構の初期メンバーには、THP活動と特定保健指導に取り組んできた医師、管理栄養士、保健師、薬剤師、健康運動指導士などの専門家がいました。
日本メディカルダイエット支援機構は、2008年に内閣府から特定非営利活動法人(NPO法人)の認証を受けましたが、特定健診・特定保健指導の始まりと時期が重なったことから、メタボ対策としての食事指導、運動指導の活動が多く、これが食事と運動を組み合わせた効果的な健康づくりの推進へとつながっています。
岡山県は、女性の平均寿命の長さは日本一で、男性も10位という長寿地域です。健康に関わる条件面で優位な特徴があり、それを支える一つとして働く人の健康度を高める心強い特徴があります。それは働く人と家族の健康づくりに積極的に取り組む健康経営推進の「健活企業制度」です。
健活企業制度は、全国健康保険協会(協会けんぽ)の岡山県支部によって独自に実施されているものです。健活企業宣言を行い、従業員やその家族が長く健康に過ごすことができるように、従業員への健康づくり活動を積極的に行う企業を増やすことを目指した健康経営推進の事業です。
岡山県や経済団体などと連携して健活企業をサポートする「晴れの国から『健活企業』応援プロジェクト」を立ち上げ、企業・団体の取り組みを支援しています。
岡山県内には健活企業が2441事業所(2025年3月1日現在)あり、健康づくりの大きな力となることが期待されています。
こういった背景もあって、定年延長時代の健康づくりのモデルは岡山で作り上げたいというのが、あと6日で古希になる身で選択したことです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕