血糖値を安定させるためには、まずは食事療法で、それで安定しない場合には運動療法がすすめられ、それでも効果が出ないときに初めて医薬品の血糖降下剤が使われます。いくら血糖値を下げる薬を飲んでも、食事療法と運動療法ができていなければ血糖値を効果的に下げることはできません。それをメディカルダイエットの現場で指摘しても、血糖値を下げる作用がある健康食品や特定保健用食品を飲んでいるから大丈夫だと言って食事療法に真面目に取り組んでくれない人もいます。運動は面倒だからと、まったく耳を貸さないということもあります。
健康食品は使用率が70%を超え、高齢者では80%を、病院に通う高齢者では90%を超えているという現状では、病院に通院する人のほとんどが健康食品を使っていると考えたほうが正しいと思われます。血糖値を下げる健康食品を飲んでいる人が、血糖値を下げる薬を飲む場合には、健康食品をやめるものだと思いがちです。医者がやめるように指示しても、こっそりと飲んでいる人も少なくありません。同じような効果があるものが重なると血糖値が下がり続けるということも起こります。
血糖値を下げるものには、低血糖という恐ろしいことがあります。血糖値が下がりすぎると急に意識を失って階段から転げ落ちる、自動車のハンドルを握ったままブレーキも踏めずに突っ込むというようなことも起こりかねません。だから、健康食品を使っているときには医師に正直に話してほしいのですが、健康食品に理解がない医師には話さないというのもよくあることです。このようなこともあるので、健康食品の有効性と安全性に加えて、医薬品との相互作用の研究も重要になります。
相互作用というと、医薬品と健康食品を一緒に摂った場合に起こる作用のことで、血圧や血糖値が下がり過ぎないように健康食品の使用を控えるように指導されるのが一般的です。欧米では医薬品を使うときに、医薬品と同様の効果がある健康食品を使っている人は医薬品の使用量を少なくするというように相互作用が活用されています。これは日本とアメリカの医療制度に関係していて、日本では医薬品を多く使うほど医療費が高くなる出来高払い制度ですが、アメリカでは病状と治療の状態によって支払額が決められる定額払い制度となっています。