ダイエットのために食物繊維を多く摂ればよいと言われますが、食物繊維なら何でもよいというわけではありません。食物繊維には種類があって、どれを多く食べるかによってダイエット効果が変わってきます。食物繊維に注目したのは、以前には消化も吸収もされないので役に立たないカスのような扱いをされていたのに、さまざまな健康効果がわかり、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルに並ぶ第6の栄養素となったからです。
食物繊維の量を増やせと言われると、食物繊維が多く含まれる野菜の中でも根菜類(ニンジン、ゴボウ、レンコンなど)を食べようとする人が多いかと思います。厚生労働省がすすめる食物繊維の量は男性が1日20g以上、女性が18g以上とされています。これは1955年(昭和30年)ころと同じ摂取量です。現在の食物繊維の摂取量は、厚生労働省の国民健康・栄養調査(平成28年)をみると14.2g(男性14.5g、女性13.9g)と、目標には達していません。
では、野菜を増やせばよいのかということですが、1日の野菜類の摂取目標は350gです。現状の葉物類と根菜類は1955年ころと同じくらいの摂取量となっています。不足しているのは穀類、豆類、いも類、きのこ類、海藻類の食物繊維です。これらの食品の中でもきのこ類、海藻類に豊富な水溶性食物繊維を増やすことを心がけるべきです。
食物繊維には消化も吸収もされない性質があるもので、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維に大きく分けられます。不溶性食物繊維は胃腸の中で変化をしないので、お掃除役となっています。
水溶性食物繊維は水を吸収して膨らみ、胃の中の糖質や脂質の一部を吸着して吸収を抑える働きがあります。腸内細菌の善玉菌の栄養源(エサ)となって発酵を進める作用は水溶性食物繊維にも不溶性食物繊維にもありますが、水溶性食物繊維のほうが善玉菌を増やしやすくなっています。ペクチン(果物、果物の皮、野菜)、アルギン酸(こんぶ、わかめ)、グルコマンナン(コンニャクいも)、βグルカン(きのこ)、ムチン(納豆、オクラ、里芋)などの種類があります。便を軟らかくして通過しやすくする働きがあります。
不溶性食物繊維は消化液で分解されない食物繊維で、セルロース(穀類、豆類、野菜)、ヘミセルロース(穀類、豆類、野菜、海藻)、ペクチン(野菜、果物)、リグニン(豆類、穀類のふすま、野菜、ココア)、イヌリン(ごぼう、ゆり根、きくいも)、キチン(カニやエビの殻)などの種類があります。腸を刺激して蠕動運動を起こし、腸の中のものを先へと送る働きがあり、排出を促進します。