048 食物繊維の種類でお通じが変わる

食物繊維は腸壁を刺激して、お通じをよくすると言われています。食物繊維が多く含まれる食品を食べていれば、それでよいということではなく、食べる食品の種類を間違ったら、お通じを悪くすることにもなりかねません。頑固な便秘になった人が食物繊維が多い根菜類を多く食べて、腸閉塞になった例もあるのです。腸閉塞は腸管の通過が妨げられる病気で、超痙攣や脳捻転の他に腸内に異物がたまることでも起こります。激しい腹痛や嘔吐があり、便通が止まることから腹部の膨張や脱水症状を起こすこともあります。
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。不溶性食物繊維は腸壁を刺激して腸の蠕動運動を盛んにします。腸が収縮して動くことで、腸の中のものは先へ先へと送られていきます。そこで不溶性食物繊維を多く摂ることは便秘の解消には効果があるのですが、便秘になった人には逆効果になることもあります。腸内に便が多すぎる状態のところに不溶性食物繊維を多く入れると詰まってしまうことにもなります。
そもそも不溶性食物繊維には便を硬くする作用があります。これに対して水溶性食物繊維は水を吸って膨らむことから逆に便を軟らかくする作用があります。そのために水溶性食物繊維を多く摂ったからといって便秘がひどくなるようなことはありません。では、水溶性食物繊維だけを摂ればよいのかというと、これだけだと便がゆるくなりすぎる人もいます。水溶性食物繊維は腸壁を刺激する力が弱いので、不溶性食物繊維も水溶性食物繊維も摂るようにすることです。
不溶性食物繊維は野菜に多く含まれていますが、中でも多いのは根菜類のゴボウ、ニンジン、レンコンなどです。水溶性食物繊維が多く含まれるのはキノコ、海藻、果物です。果物にはペクチンというジャムになる成分が含まれていて、これが水溶性食物繊維です。
便秘というと、排泄がスムーズにいかずに便通の回数が減ったり、量が減る、残便感があることと思われがちですが、排便時に腹痛などの苦痛を伴うことを指しています。日本消化器病学会では排便の回数や便量が減ることと定義していますが、アメリカでは下腹部膨満感、排ガス量、排便回数、残便感、排便時の肛門の痛み、量、便の状態を複合的に捉えての診断基準としています。