メディカルダイエットは食事と運動、食事と休養、運動と休養の組み合わせによる効果的な体脂肪のコントロールを行っていますが、食事指導は医療機関で実施される食事療法を基本としています。違っているのはエネルギー量の単位です。医療機関に限らず、食事療法の基本は80kcalとなっています。十進法に慣れている私たちには、いわゆる八進法はわかりにくいので、80kcalを1単位として、どれくらいの単位の量を食べればよいのかを示しています。それに対して、私たちは十進法を採用していて、100kcalで食事量を示しています。
1日に1600kcalの摂取エネルギー量の指示をされたとすると、一般には糖質の割合は50%とされるので、800kcalを主食から摂るようにします。ご飯の量は茶碗1杯分(普通盛り)が200kcalなので、1日にご飯なら4杯分となります。パンは5枚切りが1枚で200kcal、麺類は1玉で300kcalです。これなら理解しやすいのに、食事療法では80kcal単位になるので、分量の想像がつきにくくなります。
なぜ、80kcal単位を採用しているのかというと、今から70年以上前の終戦後の食糧難の時代に食事量が減り、一食あたりに食べている主食、主菜(肉や魚、卵など)の量が80kcalとなっていたからです。糖尿病は食べすぎが問題ということで当時の学会が採用し、栄養教育にも採用されました。戦後の緊急措置であったはずのものが、今も続いています。食事環境が改善され、飽食の時代を経て、現在では一食あたりの主食も主菜も100kcal単位で計算しやすい状態になっています。
治療食は“腹八分目”の80kcal単位でよいとしても、日常の体重コントロール、体脂肪コントロールには100kcal単位の食事指導のほうがわかりやすく、実施しやすいので、摂取エネルギー量は100kcalにしています。運動による消費エネルギー量は、そもそも100kcal単位で示されているので、エネルギーの出入りの関係も理解しやすくなっています。