127 糖尿病とエネルギー代謝

糖尿病になると血液中のブドウ糖を細胞に取り込む能力が低下するために、細胞のミトコンドリアの中で発生するエネルギーが減ることになります。糖尿病というとエネルギーの取りすぎが原因とされるものの、細胞で考えるとエネルギー不足になり、飢餓状態になっていると言うことができます。細胞の中で作り出されるエネルギーは、細胞を働かせるために使われています。発生したエネルギーは、その細胞の中でしか使われてない“地産地消”となっています。
糖尿病は細胞がブドウ糖を取り込む力が低下しているので、その能力を高めることが当然のように必要になります。しかし、エネルギー源となるブドウ糖を充分に取り込むことができなくなっているので、どうしても細胞の能力、特にエネルギーを作り出す能力が低下します。これを解消するためには、食事面だけでの対応では足りません。
重要になるのは運動です。運動をすると、細胞のエネルギー量が不足して、これを補うために細胞がエネルギーを取り込む能力が高まります。具体的には、細胞の中にブドウ糖を取り込んで中に輸送する働きをするGLUT4です。通常はGLUT4は細胞の奥にあり、インスリンが分泌されると、これに反応して細胞の外側に移動します。糖尿病はインスリンの分泌が少ないか、インスリンが分泌されても細胞の反応が悪いためにGLUT4が働きにくくなっています。
そのような状態でも運動をするとGLUT4が移動して、ブドウ糖を取り込めるようになります。運動はインスリンの代わりをしてくれるということですが、運動の中でも効果があるのは、酸素を多く取り込んでミトコンドリアの働きを高めてくれる有酸素運動です。