お酒を飲むと太りやすくなります。その理由の一つとしてあげられるのは1gあたり約7kcalのアルコールのエネルギー量で、アルコール度数15度(%)のワイン1杯だと100kcalほどになります。しかし、お酒を飲むと体温が高まってエネルギーが消費されるので、飲酒でのエネルギー摂取は、思ったほど多くはありません。二つ目の理由は飲酒をすると食欲が高まって食べすぎることです。飲酒をするときのおかずはエネルギー量が高いものが多いので、飲むほどに食べすぎになり、太りやすくなります。
そして、もう一つの理由はアルコールが肝臓で合成される脂肪を増やすこと。肝臓には脂肪酸合成酵素があり、食事で摂った糖質、脂質を材料にして脂肪が作られていることです。脂肪酸合成酵素は、肝臓にある酵素で、大切なエネルギー源である脂肪酸が多く作られ、脂肪酸3個とグリセロール1個が結びついて中性脂肪となります。日本人は歴史的に脂肪を多く摂ってこなかったため、体内の脂肪を増やすために脂肪酸合成酵素の働きがよいといわれます。
脂肪が多く含まれているものを食べていなくても太るのは、この仕組みが肝臓にあるからです。その一方で肝臓にはアルコールを分解する酵素があり、アルコールが多く分解されれば、それだけ脂肪が作られにくくなります。肝臓の働きをよくして、アルコールの分解を進みやすくするには、たんぱく質が必要で、消化・吸収されやすく、すぐに肝臓に届けられるのは大豆や大豆製品などに含まれる植物性のたんぱく質。煮豆や豆腐、厚揚げ、がんもどきなどをお酒の飲み始めに食べるのが酔いにくくなり、太りにくくなる秘訣ということです。
ちなみに、脂肪になりやすい糖質は、主食(ご飯、麺類、パンなど)に多く含まれる炭水化物の中に含まれるブドウ糖です。このブドウ糖が多いと血糖値が上昇しやすく、血糖値に応じて膵臓からインスリンが多く分泌されます。インスリンには脂肪酸を合成を促進する働きがあるので、主食は脂肪になりやすいといえます。