192 バランスの取れた栄養とは

身体と脳の健康維持のためにバランスの取れた栄養補給を指示されたときに、一番に考えなければならないのは摂取エネルギー量のバランスです。これは一般にはPFCバランスと呼ばれています。Pはprotein(たんぱく質)、Fはfat(脂質)、Cはcarbohydrate(炭水化物)の頭文字で、1日の食事で摂取するエネルギー源のうち、三大栄養素が占めるエネルギーの割合を示しています。炭水化物のうちエネルギー源となるのは糖質で、糖質と食物繊維を合わせたものが炭水化物となります。
食事で推奨されるバランスは『日本人の食事摂取基準』(2015年版)でエネルギー産生栄養素バランスとして示されています。それによると、たんぱく質は13〜20%、脂質は20〜30%、炭水化物は50〜65%とされています。5年前に発表された2010年版では脂質は20〜25%となっていました。それが増えたのは脂質を多く摂ってもよくなったということではなく、飽和脂肪酸が7%以下とすることが示され、不飽和脂肪酸を多めに摂ることが求められたからです。
飽和脂肪酸は肉類や卵などに多く含まれる脂肪酸で、多く摂りすぎると動脈硬化のリスクが高まることが指摘されています。不飽和脂肪酸は魚類、植物油などに多く含まれる脂肪酸で、動脈硬化のリスクは低く、多めに摂ることによって動脈硬化のリスクを低くすることが知られています。
たんぱく質は20種類のアミノ酸によって構成されていますが、体内で合成される非必須アミノ酸(アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、チロシン、システイン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸)と、体内では合成されない必須アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、リシン、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン、ヒスチジン)に分類されます。必須アミノ酸がバランスよく含まれる食品は良質なたんぱく質と呼ばれ、これに該当するのは肉類、魚類、卵、牛乳・乳製品、大豆・大豆製品です。