221 肉を食べると血糖値が上昇する理由

脂肪が多く含まれている肉類を食べたり、料理に脂肪(調理油)を多く使うと太りやすくなるだけでなく、血糖値も上昇して糖尿病のリスクが高まっていきます。
糖質制限をすすめている方たちの説は、糖尿病の原因となる血糖値の上昇は食品に含まれているブドウ糖の量に関係しているので、ブドウ糖が少なければよい、ブドウ糖が含まれている糖質を食べなければよい、ということを主張します。それに加えて、脂肪は血糖値に関係しないので多く摂っても大丈夫ということまで主張しています。一見すると正しいように思われるかもしれませんが、これは血糖値にだけ着目しているからです。
血糖値が上昇すると、それに反応して膵臓から血糖値を下げる唯一のホルモンのインスリンが分泌されます。インスリンが多く分泌される状態が長く続くと、膵臓は疲弊して急にインスリンの分泌量が減るのが糖尿病の始まりです。インスリンを多く必要とするのはブドウ糖が血液中で濃くなったときだけではありません。中性脂肪が多くなったときにもインスリンは多く分泌されます。それはインスリンには肝臓での脂肪合成を進めるとともに、脂肪を脂肪細胞の中に蓄積させる働きもあるからです。だから、肉を多く食べる食生活を続けていると血糖値が上昇しやすくなるのです。
これは日本人の体質的な特徴でもあります。欧米人やアジア人でも肉食文化の地域では、脂肪を多く摂ってきたことからインスリンを多く分泌できる体質となっています。そのために脂肪細胞に脂肪を多く蓄積して太ることができます。また、太っても糖尿病になりにくくなっています。それに対して日本人は脂肪を多く摂ってきた歴史がなかったことから膵臓はインスリンを多く分泌させる必要がなく、膵臓の能力は低くなっています。そのために脂肪を多く摂って太るようなことになると、インスリンの分泌が減って、血糖値が上昇しやすくなります。この体質の違いを知っておくことも糖尿病対策、ダイエット対策には必要ということです。