運動をすることは、血液中の中性脂肪と脂肪細胞の中の中性脂肪を分解して、エネルギー源の脂肪酸とすることから、太るのか、それともやせるのかというと間違いなくやせる側となります。しかし、運動して筋肉の量を減らさないようにしながらも、体脂肪の量を増やしたいと願っている人もいます。そんな人には、食事の後での運動をすすめています。食後には消化と吸収に身体が働いているので、血流も盛んにはなりにくく、代謝も低下しています。そのときに運動をしても効果が得にくくなっています。この場合の効果というのは、エネルギー源の脂肪酸を代謝させる能力のことです。一般には脂肪の代謝は“燃焼”という言葉が使われています。脂肪が減るのは、あたかも燃えているようなイメージがあるのですが、実際には燃えているわけではありません。
脂肪酸は細胞の中でエネルギー産生を行っているミトコンドリアの中に取り込まれて、ピルビン酸からアセチルCoAに変化して、この後にクエン酸となり、エネルギー産生のTCA回路で次々と別の酸に変化して、一周してエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を発生させます。結果として燃えたように減っているので燃焼という言葉が便利に使われているわけです。
運動後の食事ではインスリンの分泌量が減って脂肪酸の合成が抑えられるのに対して、食後の運動では、このメカニズムが働かないことから普通に脂肪酸の合成は起こります。しかし、その段階で有酸素運動のウォーキングを行うと、筋繊維(筋肉細胞)の中に脂肪酸が取り込まれて、これがエネルギー源として使われるので血液中の脂肪酸の量が減ります。その結果として、肝臓で合成される中性脂肪が減り、脂肪細胞の中に蓄積される中性脂肪を減らすことができるというわけです。