夜に就寝する前に食事をすると体脂肪は着実に増えます。これは寝ている間にエネルギーが使われる機会がないことが大きな原因とされていますが、それ以外にも体脂肪を増やす原因はあります。それは肝臓での脂肪合成で、寝る前に食べた場合には、それが糖質であっても肝臓の中で脂肪酸合成酵素の働きによって脂肪酸が多く作られるようになります。脂肪は重要なエネルギー源で、寝ている間にも基礎代謝としてのエネルギー消費は続いていて、寝ている場合でも全体のエネルギー消費の70%ほどは使われています。しかも身体を動かしていないときにはブドウ糖60%に対して脂肪酸40%くらいの割合で使われています。
寝ているときでも脂肪酸を使わないといけないということですが、食事をして時間がたっていないときに寝ると糖質が脂肪酸に合成されるので、これが使われます。普段は食事をしてすぐに寝ているわけではないので、この脂肪酸はどこから調達しているのかというと、脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪を分解しています。脂肪細胞の中の中性脂肪は身体を動かすことによって興奮作用があるアドレナリンが分泌されることによって分解されて、血液中に放出されます。
寝ていて身体を動かしていないときには、コルチゾールというホルモンによって脂肪分解が起こります。コルチゾールはストレスホルモンとも呼ばれていますが、睡眠中には脂肪を分解して、これを寝ている間のエネルギーとして使うことができます。寝ているときには脂肪が使われないように思われがちですが、コルチゾールによって分解されて使われています。
それでも体脂肪を増やしたいという人は、睡眠時間の調整が必要になります。睡眠時間と肥満度の関係を調査したアメリカの研究では睡眠時間が6〜7時間の人が最も肥満度が低く、それより短くても長くても肥満度が高まることが確認されています。また、睡眠時間が7〜9時間の人と比べて、4時間以下の人では73%、5時間の人では50%、6時間の人では26%に肥満傾向がみられたとの報告があります。寝る前に食べて、長く寝ていると体脂肪が増えるのは普通に考えられることですが、短くなっても体脂肪が増えるのはコルチゾールが分泌されるのが深夜の2〜4時で、6時くらいに血液中で濃くなっているのと関係があるようです。