254 飲酒と高血圧の関係

飲酒は一時的には血圧の上昇を抑える効果があります。しかし、飲酒量が多く、飲酒期間が長い人は、飲酒をしない人に比べて血圧が上昇しやすくなっています。年齢を重ねると血管の弾力性が低下して血圧が上昇しやすくなっていますが、長期大量飲酒による血圧上昇度合いは年齢にして10歳分に相当するといいます。
飲酒によって血圧が下がるのは血管が拡がるからです。その飲酒量は日本酒に換算して1合程度の量で、いわゆる適量と呼ばれる量です。それを超えて飲むと血管の拡張が進みます。血管が拡張するというと、さらに血圧が下がりそうですが、実際には上昇に転じます。というのは、血管が拡張しすぎると全身に届けられる血液量が減って、酸素の供給が低下するために自律神経の交感神経が刺激されて、末梢血管が収縮するからです。その結果、血流量が増えるようになります。
飲酒による血圧の上昇の度合いは、1単位(純アルコールにして20g)当たり30mmHgとされています。この飲酒量は日本酒では1合なので、血圧は下がることになります。それを超えて飲酒した場合には血圧は上昇するので、2合で60mmHg、3合で90mmHgとなり、もともと血圧が高かった人の場合には危険な域に達することにもなります。
適正な血圧は、収縮期血圧(最高血圧)が135mmHg、拡張期血圧(最低血圧)が85mmHgとなっています。収縮期血圧か拡張期血圧の、どちらかが超えた場合には高血圧と判定されます。適度な飲酒量(1合)でやめることができれば、男性の場合には2時間でアルコールが分解されるので、特に影響はないことになります。2合を飲んだ場合には、夜に飲酒したまま寝ても4時間後には分解されるので、寝ている間に血圧の影響も関係なくなることになります。
ただ、飲酒量が多いと睡眠が浅くなり、興奮作用があるアドレナリンが多く分泌されて、これが血圧を上昇させることになります。アルコールの分解だけでなく、こういったことも理解して、できれば1合で抑えるようにしたいものです。