タバコを吸うと太りにくくなるという人がいます。それは事実ではあるものの、その事実を逆に使うようにして「タバコをやめると太るからやめられない」という人がいます。タバコは健康によくないことはわかっていても、太るからやめられないというのは理屈としてはわからないではないのですが、それを理由としてタバコをやめないというのは、よいことではありません。
タバコを吸っていると太りにくいことについて実験をしたことがあります。食事をしている状態でレントゲンを使って胃の動きを観察する方法で確かめられたのですが、食事をして胃の中が満杯状態になったところで喫煙をすると、急に胃が大きく収縮を始めます。これはニコチンやタールなどの有害物質を早く体外に排出するために起こっていることだと言われています。
食後にタバコを吸うと、まだ消化されていない状態で食べたものが蠕動運動によって小腸に送られていくので、吸収も抑えられるようになります。これはけっしてよい状態ではありません。ちゃんと消化されて、しっかりと吸収されて、これをエネルギー源として使って、生命維持のためのエネルギーを作り出すのが正しいはずです。タバコをやめると太るというのは、普通に消化・吸収された結果であって、普通のことになっているのに太ってしまうとしたら、それは食べすぎているからです。
食後にタバコを吸うと胃がすっきりとするという人がいます。それを喫煙のメリットとして声高にいう人もいるのですが、これは消化されていないものは通過して胃に余裕ができた状態となっているだけです。そのために、さらに食べることができるようになって、これが太る原因にもなります。タバコを吸うと胃が大きく動いて消化されていないものが小腸に送られるといっても、まったく吸収されないわけではありません。その状態で、空いたスペースに食べ物が入ったら、それは消化・吸収されて、前に食べたものと合わさって、多くのエネルギー源を摂ることになって、結果として太ることになります。