コレステロール対策としてのウォーキングの効果については、さまざまな研究が行われています。その代表的な研究成果は有酸素運動とコレステロール値の関係で、HDLを増やすためには、1週間に900kcal以上のエネルギーを消費する運動をすることが効果的との結果が得られています。また、30分間以下の運動では効果はないものの、それ以降10分間増えるごとにHDLコレステロール値は約1.4mg/dlずつ増えるとの発表もあります。
厚生労働省のエクササイズガイドによると、スタスタと勢いよく歩く速歩を体重60kgの人が1時間(約6000歩)で約1400kcal、70kgの人では約1700kcalとなります。900kcal以上の運動なら週に4~5回、10分間ずつのウォーキングでもよいことになりますが、30分以上の運動でHDLが増えていくので、週に1~2回、40分間以上のウォーキングをするのがよいということになります。
しかし、これは普段の歩行数が多めの人の場合です。厚生労働省の国民健康・栄養調査では、1日あたりの歩行数とHDLコレステロール値の関係を男女別に調べています。これを見ると、歩行数が8000歩を超えるとHDLコレステロール値が顕著に増えています。
女性は男性に比べて、歩行数が少なめの人であってもHDLコレステロール値が高く、歩行数が増えた場合のHDLコレステロール値の上昇の傾向も大きくなっています。男性は女性に比べるとHDLが少なく、ウォーキングの効果も出にくいので、できるだけ機会を見つけて、歩くように心がけたいものです。目標とするのは1日に8000歩でよいのですが、そのうちの20分間は中強度の早歩き(なんとか会話できる程度の速度)とすることがすすめられています。