274 冷え対策のウォーキング

温かな血液を全身に巡らせて、冷えを防ぐためには、筋肉を盛んに動かして、ポンプ作用によって血液を早く、勢いよく送り出してやることが重要になります。ウォーキングは筋肉に適度な負荷がかかり続け、筋肉の収縮によって血液を先へ先へと送っていくことができます。
ウォーキングは酸素を適度に取り込み、10~15分間まではブドウ糖を中心に燃焼させ、それ以降は脂肪酸を中心に燃焼させ、エネルギーを作り出すことによって体温を高め、血液の温度も高めていきます。その温まった血液が、筋肉のミルキング(絞る)効果によって、送り出され続けます。そして、有酸素運動によって取り込まれた酸素が全身の細胞に送られ、さらにエネルギー代謝を高めていくことになります。
筋肉の能力は、強い力で重いものを持ち上げる“筋力”、筋肉の動きを長く継続できる“筋持久力”、そして“筋代謝力”の3種類があります。筋代謝力は、筋肉を動かすことによって筋繊維(筋肉細胞)がエネルギー源のブドウ糖や脂肪酸をエネルギーに変換する能力のことで、強い負荷がかかる筋肉運動よりも、弱めの筋肉運動が長く続くことで高まっていきます。つまり、適度な負荷が長くかかることで、エネルギーが多く必要になり、そのための能力が高まっていくということです。
筋代謝力は、ただ歩くだけでも高まっていくと説明されることがありますが、腰を落として、グイグイと前に進んでいくこと、筋肉が縮んで伸びる動きをすることで負荷がかかり、エネルギーの必要量が高まり、それだけ筋代謝力も高まっていきます。この歩き方をするためには、惰性で歩くのではなく、前傾姿勢になって重心を前に移動させるようにして、筋肉の負荷を意識して1歩ずつ前に踏み出すようにして前進するようにします。こういった歩き方をすると、腹筋と背筋も締まり、下半身の筋代謝力だけでなく、上体の筋代謝力も高めることができるようになります。