生理の前に便秘になるということを経験している女性は多いはずです。便秘になる原因は女性ホルモンの影響です。排卵から生理が始まる前には女性ホルモンのプロゲステロンの分泌量が増えます。これは妊娠を保持するためのホルモンですが、大腸の蠕動運動を低下させる作用があります。大きく蠕動運動が低下するものではなくて、腸内環境がよい人、つまり腸内細菌の善玉菌が多く、悪玉菌が少ない人の場合には、それほど影響が出ないこともあります。それに対して、あまり腸内環境がよくない人の場合には、蠕動運動の低下は、すぐに便秘につながることになります。
大腸は便の水分を吸収していますが、生理前には大腸の水分吸収が増えます。生理前にむくむという人も少なくないのですが、これは大腸からの水分吸収が増えて、それが体内で保持されることから起こっていることです。水分吸収量の増加と蠕動運動の低下が加わると大腸にとどまる時間が長くなり、水分量が減ることによって硬くなり、出にくい状態になってしまうわけです。
生理が始まったときにはプロゲステロンの分泌量が減って、代わりにプロスタグランジンが多く分泌されます。この女性ホルモンは子宮を収縮させる作用とともに、大腸の蠕動運動を盛んにする作用もあることから、便秘が解消されるようになります。生理前には便秘になり、生理からは解消されるというのは望ましいことではないかもしれませんが、これは女性ホルモンの分泌が正常で、バランスが取れている証拠なので、ある程度は仕方がないことです。
便秘は蠕動運動と水分量だけが影響するものではなくて、最も関係しているのは腸内細菌のバランスです。善玉菌には便を発酵させることによって増やして軟らかくする働きがあります。悪玉菌には便を腐敗させて硬くする働きがあります。善玉菌のエサとなっているのは糖質、乳製品、食物繊維で、悪玉菌のエサとなっているのは動物性たんぱく質と脂肪です。このことからわかるのは、肉食が多いと便秘になりやすく、ご飯や野菜を多く食べると便秘になりにくいということです。