抗酸化力は活性酸素を消去する能力のことで、細胞は酸化すると本来の働きをすることができなくなることから、細胞の酸化は代謝能力を低下させることにもつながります。そのことからダイエットに使われるサプリメント成分や食品は抗酸化力の強さが強調されています。抗酸化力という言葉を聞くと、酸化させない成分とイメージされることが多いのですが、実際には酸化しやすい成分です。りんごは切って放置しておくと茶色に変色してきます。これは中に含まれるミネラルの鉄が酸素と反応して酸化するために起こることです。
これを見ると、りんごは酸化しやすい果物だということがわかりますが、そのりんごに含まれるポリフェノールに強い抗酸化作用があることを紹介すると、「酸化するのに、どうして抗酸化なのか」という疑問を投げかけられることがあります。“酸化するから抗酸化”ということを説明するのに、りんごを例にすることがあります。
抗酸化成分は体内に入って、活性酸素を消去することで、全身の細胞が酸化しないようにしてくれます。体内で活性酸素が発生すると細胞から電子を奪って酸化させるのですが、細胞よりも酸化しやすいものがあると、そこから電子を奪っていきます。この細胞よりも酸化しやすいのが抗酸化成分で、先に活性酸素によって酸化させられることによって活性酸素を消去してくれます。
りんごの場合には、酸化して茶色になる前なら抗酸化作用があるのに、酸化してしまうと抗酸化作用が弱まるということです。緑茶に含まれるカテキンも同じで、お湯を注いだばかりのときにはカテキンによって抗酸化作用があり、すぐに飲めば体内で活性酸素を消去してくれます。ところが、お湯を注いだ後の茶葉を放置してくとカテキンは酸化してしまい、この酸化した茶葉で煎れたお茶は抗酸化力がないばかりか、酸化したものを飲むことになって、活性酸素を増やすことにもなります。サプリメントは酸化しにくく作られていますが、酸化する前に食べる、飲むというのが抗酸化力を活かす簡単で、効果がある方法だということです。