発達障害児は極端な偏食までいかなくても、食べられないもの、苦手な食べ物があり、これを避けた食品でメニューを作ろうとすると、いろいろな工夫が必要になります。食べられる食品だけを使ったメニューを作ると単調な内容になったり、栄養のバランスが取りにくいことにもなります。
栄養指導の専門家である栄養士のアドバイスを受けると、食べられない食品は調理法を変える、中身がわからない調理法(衣で包む、カレーやシチュー)にする、味付けを変えて食べやすくする、好きな料理に混ぜるといった方法が教えられます。
この方法は実際に発達障害児の保護者が受けたアドバイスの一例ですが、多くの保護者が感じているのは、これは普通の好き嫌い、食べず嫌いの対応、ということです。
発達障害児の偏食は、五感によるものがあり、味覚、嗅覚、聴覚、視覚、触覚が過敏に反応することで、食べることに困難さを感じています。それぞれの困難となっていることを避ければ食べられるようになるということではなくて、困難さを感じた食品や料理の記憶が、食べようとする行動の妨げになっていることがあります。
味を変えても、細かく刻んだり、すり潰したり、ジュースにしても、元の食品の味が記憶として残っていることから、拒否反応が起こります。食べられないものであることを知っているのに、黙って料理に加えたことから、料理を作った人に不信感を抱き、嫌いになって、学校給食では食べられるのに家庭では食べられないということも起こっています。
通常のメニュー提案ではなく、食べられないものは本当に食べられるようにしなければならないのか、食べる回数が少ないものは回数を増やすようにできるのか、他の食べられる食品で不足する栄養素を補うことができないのか、ということを把握することが必要です。そのための方法として活用しているのは食生活チェック表です。
これは食品を食べる頻度を1週間の回数から把握して、できるところから回数を増やしていくもので、臨床栄養(入院患者や通院患者の栄養指導)から編み出されたものです。
DNA資格認定者が発達障害児の保護者の食事相談を受けるときのツールとしていて、チェック表を元に分析・提案事項をまとめて、DNA資格認定者を通じて提供するようにしています。
〔発達栄養指南:小林正人〕