DNA Answer44 ポストコロナの発達栄養

コロナ禍で規制と行動制限の中で育ってきた子どもは、想像以上に大変な思いをしてきています。中でも発達障害がある子どもは、周囲とのコミュニケーションが苦手であることから、マスク着用、接触もできない交流、運動不足、黙食などによって、特に大きな影響を受けていることは想像に難くありません。

発達障害であることは3歳児検診などを機会に発見されることが多く、その後の3年間の就学前の期間は改善のための重要な期間です。その3年間が制限された中での行動ということで、本人も保護者も改善が進まない苛立ちの中で過ごしてきました。

コロナ禍の制限が弱まることになったポストコロナの時代は、これまでに進めることができなかった運動も食事もコミュニケーションも解放に向かっていることが期待されます。しかし、これまでと同じ状況になったということでは、発達障害児の3年間を取り戻すことは難しいかもしれません。

発達障害児は神経伝達物質のセロトニンが不足していることから、自律神経の副交感神経の働きが充分に行われず、交感神経の働きが高まりすぎることから、心身ともに興奮状態になりがちです。

発達障害の自閉症スペクトラム障害も注意欠陥・多動性障害も、そして学習障害も交感神経が働きすぎの状態では改善に手間取ることになります。3年間に改善が進められていれば、セロトニンの分泌も進められたかもしれません。

セロトニンは脳の神経細胞で神経伝達をスムーズに進めていきますが、脳で作られるものは全体の10%ほどで、残りの90%ほどは腸内で作られています。腸内環境を整えてセロトニンの合成を進めるためには、腸内細菌の善玉菌が活発に活動することが大切です。

そのためには腸内の蠕動運動がスムーズに行われていることが必要ですが、蠕動運動を盛んにするのは副交感神経の働きが優位になっているときです。セロトニンの合成が少ないために蠕動運動がスムーズにいかず、そのためにセロトニンが多く作られないという悪循環のような状態になっています。

今からでもセロトニンの合成を進めて、さらに身体の発育を大きく進められるように、必要な栄養素を補給しなければなりません。そのために必要な知識を伝え、発達障害児と保護者を支える立場としてDNA資格認定者の活躍の機会が訪れているのです。
〔発達栄養指南:小林正人〕