Medical Diet165 脂肪酸合成酵素とアルコール飲料

やせることに比べれば太るのは簡単だ、と言われます。ダイエットのための生活習慣と逆のことをすればよいのだから、と考える人もいますが、やせるのに必要な身体メカニズムと同様に、太るためにも活用すべき身体メカニズムがあります。

太りたくても太れない人もいます。食事量を増やしても、なかなか太らないこともあります。健康的に太るというと筋肉を増やすことが中心になりますが、そのためにはたんぱく質の摂取と筋肉運動が必要になります。

体脂肪を増やしたくても増えない人には脂肪が多い食品を増やして、脂肪がエネルギー化しにくいように身体活動を減らす、つまりゴロゴロしていればよいと考えられがちですが、それだけでは体脂肪が思ったよりも増えないこともあります。

そんな人にすすめられるのは、健康的ではないかもしれませんが、お酒を飲むことです。脂肪を多く摂取すれば肝臓で中性脂肪が増えるわけですが、肝臓には脂肪酸合成酵素があり、これが盛んに働くことで脂肪酸が多く合成されます。その材料となるのは余分になった糖質、脂質、たんぱく質です。

脂肪酸合成酵素の働きを高めるのはアルコールで、飲酒をすると脂肪酸が多く作られ、脂肪酸が3個つながって中性脂肪になり、これが脂肪細胞の中に蓄積されていきます。

脂肪酸合成酵素が働いても、肝心の脂肪酸に合成される材料の糖質、脂質、たんぱく質がなければいけないので食事とともに飲酒をするのが大切です。脂肪酸合成酵素の働きを高めるのは自律神経の副交感神経なので、副交感神経が盛んに働いている夕方以降なので、夕食のタイミングでの飲酒が有効となります。

アルコールは1gあたり約7kcalのエネルギー量があって、糖質の約4kcal、脂質の約9kcalの中間的なエネルギー量です。しかし、それは100%アルコールの場合なので、度数が25度(%)のアルコール飲料ならエネルギー量は4分の1となります。アルコールのエネルギー量によって太るわけではなくて、アルコールの脂肪合成の働きが大きいということです。