Medical Diet176 噛まないと代謝酵素が不足する

しっかりと噛んでから飲み込むのは消化をよくするだけでなく、全身の細胞で行われる代謝にも大きな影響を与えることになります。これは消化酵素と代謝酵素の関係から説明することができます。

消化酵素は唾液と胃液が中心になりますが、十二指腸で分泌される胆汁も含まれます。代謝酵素というのは、細胞の中で生化学反応を起こすための酵素で、これが充分にあることによって細胞の働きが正常に保たれるようになります。

酵素はタンパク質で、肝臓でアミノ酸から合成されています。その量は食事で摂ったアミノ酸(たんぱく質が胃で分解されてアミノ酸になって吸収)の量にも関係しているものの、1日に作られる量はほぼ決まっています。

この酵素は維持酵素と呼ばれていて、消化酵素と代謝酵素になります。食べたものを消化するのはエネルギー源や身体を働かせるための重要な役割をする栄養素を摂取するために重要なことであるので、多くの消化酵素が必要になります。

消化酵素の分泌量は食べたものによっても異なり、消化されにくい食べ物を多く食べれば、それだけ多くの消化酵素が必要になってきます。その分だけ全身の細胞で使われる代謝酵素が減ることになります。

例えば消化酵素が維持酵素の80%を占めるようになると、代謝酵素は20%しか使われないことになります。消化酵素が60%で済むようになれば、代謝酵素は40%になり、計算上ではあるものの、代謝酵素は2倍にも増えることになります。

食べ物を、しっかりと噛んで、唾液と充分に混ぜ合わせてから胃へと通過させていけば、胃から分泌される消化酵素は少なくて済むようになります。よく噛んで食べることは消化酵素を節約して、その分だけ代謝酵素を増やすことになるということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)