Medical Diet177 代謝を高める食物酵素の役割

全身の細胞の中で生化学反応を起こすために使われる代謝酵素は、消化酵素を節約することによって増やすことができる、つまり全身の代謝を高めることができる、ということを前回は説明しました。

消化酵素を減らすためには、しっかりと噛んで唾液を多く分泌させることが大切だという話をしましたが、それだけでは消化には充分ではありません。消化液の分泌量は歴史的に食べてきたものが影響をしていて、消化されやすい食品を食べてきた国民、消化のために必要な成分が多く含まれてきた食品を食べてきた国民は、それほど多くの消化液が必要ではないので、消化酵素を代謝酵素に回すことができました。

日本人の食生活は終戦後に大きく変わり、それが平均寿命を延ばすことにもつながったのですが、肉食は戦争前や終戦後と比べると今では6倍にもなっています。動物性たんぱく質も脂肪も多くの消化酵素が必要になるので、もともと少なかった消化酵素が極端に多く必要になっています。

消化酵素を増やすために、何をすればよいのかということですが、そのためには食物酵素が多く含まれた食品を食べることです。食物酵素が多く含まれているものとしては、大根、かぶ、キャベツ、山芋、パイナップル、パパイヤ、キウイフルーツ、いじちく、梨などがあげられます。

前半にあげた野菜に多く含まれているのはデンプンの分解酵素です。後半の果物に多く含まれているのは動物性のたんぱく質の分解酵素です。要は野菜と果物を摂るようにすればよいということですが、食物酵素は温度によって壊されてしまいます。その温度は70℃とされているので、加熱するのではなく、生の状態で食べること、加工されていないものを食べることがすすめられます。

また、発酵食品にも食物酵素が含まれているので、麹、納豆、味噌、漬物、酢、ヨーグルト、チーズなどの食品も摂る機会を増やしたいものです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)