Medical Diet198 食物繊維の種類と役割

便通をよくして代謝を高めるためには、腸を刺激して蠕動運動を高めると同時に、便の量を増やす役割がある食物繊維を多く摂ることが大切になります。日本人は野菜の摂取量が多く、アメリカ人は少ないという印象がありましたが、日本人の野菜の摂取量が減る一方であるのに対してアメリカ人は増えていて、今ではアメリカ人のほうが摂取量が多くなっています。

それに応じて、以前は日本人の1週間の便通は平均7回、アメリカ人は平均4〜5回とされていたのが、ほぼ同じになっています。つまり、平均すると5回程度になっているということです。

食物繊維には、水に溶けない性質の不溶性食物繊維と、水を吸って膨らむ性質の水溶性食物繊維があります。不溶性食物繊維は腸壁を刺激して蠕動運動を高める働きがあるものの、便を硬くする作用もあります。そのために便通が思ったように改善されないことにもなります。

それに対して水溶性食物繊維は便を軟らかくする作用があるため、便の状態が改善されて、便通をよくしてくれます。

不溶性食物繊維が多く含まれるのは野菜で、特に多く含まれるのは根菜類です。水溶性食物繊維が多く含まれるのは海藻、キノコ、果物です。以前はコンニャクも水溶性食物繊維として摂取がすすめられていましたが、凝固剤で固めたものは不溶性食物繊維と同じ状態になることが確認されています。水溶性食物繊維の性質があるのはコンニャク粉です。

高齢になると便通が悪くなってきますが、これは食物繊維の摂取量が減るだけではありません。年齢を重ねると自律神経の副交感神経の働きが低下しますが、腸の吸収も蠕動運動も高めるのは副交感神経の役割です。そのため、高齢になったら食物繊維を積極的に摂ることがすすめられるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)