α‐リポ酸とコエンザイムQ10の弱点

サプリメント素材のα‐リポ酸とコエンザイムQ10は摂取タイミングが異なるので、この2つを組み合わせたサプリメントはおかしいという話を以前にしました。α‐リポ酸の胃に分解されやすいという弱点を克服して、商品化するために考え出されたのがラセミ体という加工法です。
α‐リポ酸は体内で合成される成分で、20歳をピークに加齢につれて合成量が減っていきます。年齢を重ねると脂肪と糖を燃焼させてエネルギーとする代謝が低下するのは、一つの理由として筋肉が減っていくことがあげられていますが、それ以上に大きな理由としてあげられるのがα‐リポ酸の減少です。α‐リポ酸が減少すると細胞のミトコンドリアに取り込まれる糖質が減るので、それだけミトコンドリア内でエネルギーが多くは作られなくなっていきます。
体内にあるα‐リポ酸はR体という天然型で、これが胃液に弱いのですが、非天然型(人工型)のS体にR体を一緒に組み合わせると分解されにくくなります。そこで、ほとんどのα‐リポ酸はR体とS体を等量で組み合わせたラセミ体という形にしてサプリメント素材としています。R体もS体も吸収されるものの、体内でS体は使われません。体内で使われるのはR体だけです。ラセミ体はR体とS体が等量、つまり50%:50%となっているので、含有量の半分しか使われていないということです。
ラセミ体のα‐リポ酸なら胃液で分解されないということではなく、分解されにくいだけで、やはり吸収のタイミングは空腹時ということになります。
サプリメント成分としてのコエンザイムQ10は脂溶性のために食事で脂肪が含まれたものを食べたときに摂る必要がありますが、最高の条件であっても吸収率は1%ほどでしかありません。コエンザイムQ10は食品に含まれているものの、その量は少なく、サプリメントでの補給がすすめられるのは、この吸収率の低さが関係しています。こういったことの解決法は、別の機会に紹介させてもらいます。