「生活習慣病はワクチン接種できない」と脅した時代

ワクチンと基礎疾患の関係といえば、ウイルス感染しやすいので、高齢者に続いて、すぐに接種すべき対象であるということが新型コロナウイルス感染から広く知られるようになりました。以前には基礎疾患がある人はワクチン接種をしてはいけない対象とされていました。もちろん、ウイルスの種類が異なっているので、同じようにはいかなくて、場合によっては逆のことになることは想定の範囲内です。このことを前に書かせてもらったときには、「同じことを学んだ」という声から「いまだに基礎疾患の人に接種するのは疑問がある」という声まで、反応はさまざまでした。
基礎疾患というのは高血圧、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)などを指しています。これらは病気の範疇にはされているものの、これがあるから命に直に関わるということではなくて、その先にある合併症が起こることでリスクが急に高まります。高血圧、糖尿病、脂質異常症は医療の手助けは必要であっても、まだ自力で治すことができる、つまり、運動、食事、休養によって改善していけるという段階なのです。
その改善ができる段階で、すぐに命の危険はないといっても、放置していてはいけないということの一つの証拠として、以前に言われていたことは「ウイルス感染が起こってもワクチンが接種できないので危険性が高い」「基礎疾患で亡くなることはなくてもウイルス感染で亡くなる可能性が高い」ということでした。この脅しのような切り口を使って、なかなか自分でできる対策を始めない人に行動を起こさせようというので、医療関係者も患者へのトークとして使っていたものです。
それが今では逆のことになっているということですが、ワクチン接種ができたからといって、それで基礎疾患が改善されるわけではなくて、あくまで優先的に接種を受けることができる、ウイルス感染しても急に重症化して亡くなることはない、ということだけです。
新型コロナウイルス感染で、外を歩くことすら自粛しなければならない状況から、ワクチン接種のあとには感染リスクが大きく下がることから、歩けるようになります。だから、これまで歩く機会も少なくて、大きく低下した健康度を高める機会にしてほしいのです。特に、基礎疾患がある人は歩くことによって、もともとの病気の将来的なリスクも低下させることができるのですから。