なぜ改札を出て直角に曲がるのか

近道をするショートカットは急いでいるときには仕方がないことかもしれませんが、都市部では電車を降りたときに、あまりに急いでいる人が多いのか、改札を通過した直後に直角に曲がる人をよく見かけます。以前から見かけてはいたものの、「急に増えてきたのは、どうしてなのか」という質問をWEBメディアから受けました。歩くことに関する情報を発信していますが、こういった質問も関連で寄せられています。
改札の近くに誰もいない状態なら、どんな進み方をしても危なくはないでしょうが、隣の改札を出ようとしている人、つまり同じ方向に進んでいる人がいても直角に曲がって、その人の目の前を通過して足止めをさせています。そんなシーンを何度も目にしました。また、これから駅構内に行くために改札を通過しようとしたときに隣の改札から出た人が直角に曲がって、ぶつかりそうになった人を見るだけでなく、実際にぶつかった経験があります。
“スマホ歩き”は周りが見えなくなって危ないので注意喚起がされていますが、スマホを見ているわけでもない人が周りの状況に気づかずに直角曲がりをしています。
どうしてなのか、という問いへの返答は、それぞれの専門家によって異なるのでしょうが、スマホを見ながら歩いているのが癖になると、視線を広げて歩くことが徐々にできなくなり、狭い範囲しか見ないで歩く癖になっていくのではないかと考えます。
歩くというのは身心に問題がなければ誰もができることと認識されているようですが、足腰の動き、上半身と下半身のバランス、路面の確認、周りの人の動き、周りの風景への目配り、急な飛び出しへの注意、さらに考え事など、さまざまなことを同時に行いながら歩いています。
スマホを見てばかりだと、次々に飛び込んでくる情報が第一優先になり、他のことへの注意が散漫になります。目的の情報があると、そこに目をやり、クリックするのが優先されるようになって他のことが見えなくなる特徴が“スマホ脳”とか“スマホ認知症”といった言葉で表されていますが、目的のところに向かうのが優先になり、周りが見えにくくなっているから直角に曲がってしまうのではないでしょうか。