またまた緑茶を食べる話

緑茶の茶葉の安全性については過去にも紹介していますが、安全なものについての情報を流していても、まだまだ情報提供が足りないようで、これまでと同じように危険な状態のものを健康によいからといってすすめている例が、いまだにみられます。緑茶は飲むもので、その緑茶を入れる茶葉は食べるものではありません。抹茶はお湯を注いで飲むものでもあり、粉のまま食べられるものでもあります。
茶葉には無農薬で育てられたものと、農薬が使われたものがあります。農薬使用よりも無農薬のほうが安心といっても、多くの茶葉には無農薬の表示はありません。ということは農薬が使われていて、茶葉の中にも農薬が残留しているのに、そのことを問題視する声は多くはありません。というのは、茶葉にお湯を注いで、緑茶の味や香りの成分が溶け出ても農薬は溶け出ていないからです。
茶葉に使われているのは水に溶けないタイプの農薬です。水と表現したのは冷たい水という意味ではなく、温められたお湯でも農薬に対しては同じ反応があります。水に溶けない農薬以外は何かというと、それは油に溶ける農薬です。茶葉は露天で太陽光を浴びて育てられるので、雨が降る環境にあります。水に溶けるタイプの農薬では雨が降ったら流れてしまうので、油に溶けるタイプの農薬が使われます。
このタイプの農薬は、お湯を注いでも農薬は溶け出ないので、安心して飲めるというわけです。とはいっても、茶葉の一部は粉になっているので、急須から入れると農薬が含まれた部分が少しは口から入ってしまいます。しかし、それほど多くの量ではないので、危険レベルではありません。
問題となるのは、茶葉を食べる方法です。茶葉は栄養豊富で、お湯に溶け出る部分はほんの少しなので、出がらしの部分を料理の材料のように使って食べようという人がいます。それをすすめている料理研究家もいます。出がらしをお浸しのようにするならまだしも、天ぷらにすることを紹介している人がいました。天ぷらには油を使うので、この油によって農薬が溶け出て、体内に吸収されてしまいます。
粉にして飲む方法もあります。抹茶は緑茶を粉にしたものですが、粉にして全体を飲むことが前提になっているので、もう一つの前提として農薬が使われていません。だから安心して飲んだり、料理にかけたりできるのですが、農薬が使われた茶葉をミルなどで挽いて粉にしたものは、見た目は抹茶と同じようであっても中身がまったく違っています。農薬が残留しているのか、まったく農薬がないのかでは天地の開きです。
茶葉全体の栄養を口から入れたいなら抹茶を飲むことです。およそ口に入れられるものの中で、栄養素の含有ランキングのトップ2は抹茶と海苔です。100g単位の量で比べたら、この二つにかなうものはありません。ただ、100gの価格で比べたら海苔は松坂牛よりも高くなります。そんなにも多くの量を食べないので比較するのには無理があります。それに対して抹茶はというと、100gを摂るには1日に50杯ほども飲まなければなりません。
栄養の摂取というのは無理がある話で、嗜好品として飲むのが一番で、それには美味しさと同時に、安全性も考慮して選ぶべきではないでしょうか。