インスリンとレプチンの抵抗性の違い

インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、血液中のブドウ糖が多くなると膵臓のランゲルハンス島のβ細胞が反応してインスリンが分泌されます。インスリンには二つの働きがあって、一つは細胞にブドウ糖が取り込まれるときに作用して、血糖値の上昇を抑えてくれます。もう一つは肝臓で脂肪酸を合成させる働きで、インスリンが多く分泌されるほどブドウ糖が脂肪酸に変化して、その後に脂肪酸がグリセロールと結びついて中性脂肪となります。中性脂肪は脂肪酸3個とグリセロール1個の割合で結合しています。糖を摂りすぎると体脂肪が増えると言われるのは、この仕組みがあるからです。
インスリンが分泌されれば、細胞の中にブドウ糖が取り込まれるという仕組みであるのに、インスリンの分泌量の割にはブドウ糖が取り込まれない人がいます。こういった状態をインスリン抵抗性と呼んでいますが、日本人はインスリンが分泌されているのに血糖値が下がりにくい人が多く、そのために糖尿病になる人が多くなっています。
もう一つ日本人に多い抵抗性があります。それはレプチン抵抗性です。レプチンは食欲を調整するホルモンで、脂肪細胞の中に中性脂肪が多く蓄積されると脂肪細胞から分泌されて、満腹中枢に働きかけて食欲を抑制します。また、レプチンには自律神経の交感神経に働きかけて脂肪細胞の中に蓄積された中性脂肪を分解して脂肪酸を血液中に放出する作用もあります。
この状態が正常に働いていれば過剰に太ることはなくなるはずですが、レプチンが充分に分泌されているのに、脂肪が増え続ける人がいます。これは脳の視床下部のレプチンを受け取る受容体の反応が悪くなっているからで、満腹サインが出ているのに、それを感じることができなくなっているために食欲が抑えられなくなっているのです。
どちらの抵抗性もダイエットに関わっていて、ともに生活習慣病と深く関わっているので、改善できるものなら改善したいものです。インスリン抵抗性は、脂肪細胞の中でも内臓脂肪に中性脂肪が多く蓄積されたときに発症しやすくなっています。レプチン抵抗性はレンプチンが多く分泌されすぎることで感受性が弱くなっていくことが知られています。どちらの抵抗性も原因は脂肪細胞の中に蓄積された中性脂肪の量に関係しているので、徐々に減らしていくことが必要で、これこそメディカルダイエットの出番といえます。