もち麦でダイエットできるのか

ダイエット食材として、もち麦が人気となっています。もち麦は大麦の一種で、一般の麦(うるち麦)はグルコース(でんぷん)がアミロースとアミロペクチンから構成されていますが、もち麦はアミロペクチンだけです。アミロペクチンには粘りがあるので、もち麦は粘りのある食感となります。
もち麦を取り上げたテレビ番組のあとに、他局のディレクターからダイエット法に間違いがあるのではないか、との問い合わせがありました。この番組は私たちも見ていたので、何を言いたいのか、すぐにわかりました。
もち麦の有効成分を水溶性食物繊維のβ‐グルカンだと紹介していましたが、β‐グルカンならキノコを食べればよいのではないかとの感想も言われていました。その通りで、β‐グルカンには脂肪を吸着して吸収を阻害する作用があり、粘度が高いことからブドウ糖がゆっくりと胃から小腸に通過するので血糖値の急上昇が抑えられるというメリットがあります。
もち麦は内臓脂肪を減らして、生活習慣病のリスクを抑えるというのが番組のテーマだったのですが、芸能人3名に、食生活を変えずに主食をもち麦に変えるだけで効果を測定するのかと思って見ていたら、揚げ物を食べないようにする、間食を食べない、夕食後のお酒とつまみ(ポテトチップス)をやめる、毎食キュウリを1本食べる、水を飲みながら食べるという方法をやっていました。これだけのことをすれば、もち麦を食べなくてもダイエットは可能です。この食品にダイエット効果があると言うなら、食事面で他のことをするのは反則技です。
番組では、有酸素運動もすすめていました。内臓脂肪は蓄積されやすいものの減らしやすいタイプの脂肪で、しかも有酸素運動によって減らしやすいものです。これで内臓脂肪が減らなかったほうがおかしいことなので、ダイエット効果があるものを紹介する手法としては、信頼性を失わせる結果にもなりかねない、もち麦の、せっかくのメリットが理解されなかった、ということを話させてもらいました。