エネルギー代謝110 エネルギー代謝の前半と後半

エネルギー代謝というと、エネルギー源(糖質、脂質、代謝)を材料として体内でエネルギーを作り出すことを一般に指していますが、それはエネルギー代謝の前半で、生理学の世界では「異化」と呼ばれています。

エネルギー代謝は全身の細胞の中にあるミトコンドリアという小器官で行われています。ミトコンドリアで作り出されたエネルギーは、その細胞の中でしか使われないという特徴があります。電気のように他のところに流れていくわけではありません。

全身には60兆個以上の細胞があるとされています。この数は、体重1kgについて約1兆個の細胞があることからの推定値です。60兆個というのは体重が60kgの人の場合であるので、細胞の数は一定ではありません。

その多くの細胞の一つひとつの中で作り出されたエネルギーは、それぞれの細胞の機能を発揮させるために使われています。胃液が分泌されるときも、腸から栄養素が吸収されるときにも、膵臓からインスリンが分泌されるときも、細胞がインスリンを活用してブドウ糖を取り込むときにも、エネルギーが使われています。

エネルギーを多く作り出すことが細胞レベルから元気にしていくこと、正常に機能させることになるわけですが、細胞の中でエネルギーを使って生化学反応を起こすことは「同化」と呼ばれます。

エネルギー源の摂りすぎは、生活習慣病の原因であることは間違いないことですが、あまりに減らすと、機能が低下している臓器や器官の働きを高めるためにはエネルギー源を異化によってエネルギー化させることが重要になります。

血糖値を抑えるためには糖質(ブドウ糖)が多く含まれる食品を減らせばよい、中性脂肪値を抑えるためには脂質(脂肪酸)が多く含まれる食品を減らせばよい、と単純に考えることはできないのです。

必要な量を摂取して、これを効率的にエネルギー化させることによって、体内で余分なエネルギー源を減らしていくためにも、異化と同化の意味合いを知って、エネルギー化を促進するために身体を動かす機会を増やすことが大切になるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)