エネルギー代謝63 機能回復のエネルギーその2

動脈硬化の予防のために使われるスタチン剤は、予防効果は大きいとしても、必ず動脈硬化が起こらないようにするものではありません。しかし、動脈硬化のリスクが高い高LDLコレステロール血症、糖尿病、高血圧症の患者の場合には、動脈硬化によって脳血管疾患や心臓疾患という命に関わる疾患を予防するために使われます。高齢者の場合には、リスクが高いとして特に使われやすくなっています。

肝臓の細胞では、エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)が代謝されて、高エネルギー物質のアセチルCoAに変化します。アセチルCoAはアセトアセチルCoAに変化したあとにHMG−CoA合成酵素によって、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA(HMG−CoA)となります。

そのあと、HMG−CoA還元酵素によってメバロン酸に変化して、イソペンテニルピロリン酸、ファルネシルピロリン酸となります。ファルネシルピロリン酸からスクワレン合成酵素によってスクワレンになり、コレステロールに変化します。

この流れを抑えて、メバロン酸の合成を減らすのがスタチン剤の働きです。

これに対して全身の細胞内のエネルギーを発生させるための補酵素であるコエンザイムQ10を発生させる材料となるのはファルネシルピロリン酸で、ファルネシルピロリン酸が少なくなれば、コエンザイムQ10が減って、全身の細胞内で発生するエネルギーも減るこことになります。

この不足するコエンザイムQ10を補う方法ですが、今ではコエンザイムQ10は食品の成分としても摂取することができるようになっているので、スタチン剤を使ってもエネルギー不足になることはありません。

しかし、そのことを理解している医師は決して多くはなく、「医薬品を使っているときには健康食品を使わないように」との指示がされることも少なくないのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)