エネルギー代謝88 L‐カルニチンの体内合成

L‐カルニチンは体内で合成される成分で、細胞のミトコンドリアに脂肪酸を通過させるために必要な代謝促進成分です。脂肪酸は高エネルギーで、糖質(ブドウ糖)、たんぱく質(アミノ酸)の2倍以上のエネルギー量があります。

体内で合成されるものの、合成のピークは20歳代前半で、それ以降は合成量が減るために脂肪酸がミトコンドリアに充分に取り込まれなくなることから、同じ食事量、同じ運動量では年々太りやすくなっていくわけです。

脂肪酸は単独ではミトコンドリアの膜を通過できないために、L‐カルニチンと結びつく必要があり、L‐カルニチンが減少すると脂肪のエネルギー代謝量が減ることになります。

L‐カルニチンの材料となっているのは必須アミノ酸のリシンとメチオニンです。
必須アミノ酸は肉、魚、卵、乳製品、大豆・大豆製品にバランスよく、豊富に含まれています。

リシンとメチオニンが足りていることが体内で合成される第一条件ではあるのですが、リシンとメチオニンが足りていれば単純にL‐カルニチンが合成されるわけではありません。

合成のためには3種類のビタミン(ビタミンC、ナイアシン、ビタミンB₆)、ミネラルの鉄が必要になります。体内のL‐カルニチンのうち3分の1ほどは体内で合成されていて、3分の2ほどは食品に含まれているL‐カルニチンから摂取されています。

L‐カルニチンが多く含まれるのは羊肉(特にマトン)、牛肉などであるので、これらの食品の摂取量が少ない人は不足しがちで、体内の合成に頼ることになります。

食品からの摂取量を増やすと、肉類の摂取によって脂肪の摂取量も増えることから、L‐カルニチンの不足を感じている場合には、サプリメントとして摂取する方法がすすめられます。L‐カルニチンはダイエット用のサプリメント成分と認識されがちですが、全身の細胞で発生するエネルギーを増やすため、細胞レベルで健康になるための重要な成分となります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)