機能性表示食品の中には、2つの異なる機能が表示されているものがあります。前回(サプリ概論208)取り上げた熟成ホップ由来苦味酸を用いた製品には、注意力の精度を高める機能に加えて、「BMIが高める方のお腹周りの脂肪(体脂肪)を減らす機能があることが報告されています」と表示されています。
BMIは体格指数(Body Mass Index)のことで、身長と体重から計算される肥満度を示すものです。お腹周りの脂肪は、体脂肪のうち内臓の周りに蓄積される内臓脂肪を指しています。
熟成ホップ由来苦味酸には、体脂肪を低減させることが人間を対象とした試験で報告されています。これを総合的に評価するために研究論文が集められました。
1日に11.7mg、35mg、70mgの熟成ホップ由来苦味酸を含む食品摂取群と含まない食品摂取群(プラセボ群)に分けて、12週間継続させて効果を比較する試験が実施されています。
対象者はBMIが25kg/㎡以上、30kg/㎡未満の肥満1度の健常な成人男女で、体脂肪は腹部CTスキャンによる総脂肪面積(内臓脂肪面積と皮下脂肪面積の合計)で評価されています。
肥満症を含む全被験者を対象とした場合には11.7mg以上を含む食品を摂取した群で摂取しない群よりも12週間後に体脂肪が有意に減少しました。また、健常者だけを対象とした場合には35mg以上を含む食品を摂取した群で摂取しない群よりも12週間後に体脂肪が有意に減少しました。健常者の体脂肪が減少するというのは、肥満の人は対象としていないということで、製品に含まれる1日の摂取量は35mgとなっています。
注意力の向上と体脂肪を減らす機能の両方があるということですが、試験の対象者が異なっているので、両方の条件に当てはまる人でないと期待する効果が得られないということになります。