スクワットは数をこなせばいいわけではない

スクワットは立ち上がるために必要な下半身の筋肉を鍛えることができる自重トレーニングです。自重というのは自分の身体の重さという意味で、道具を使わずに行うことができるウエイトトレーニングを指しています。足腰の強さが問われる職業では最も重要となる筋肉で、高齢で舞台に出続けていた大女優さんに運動と食事についてインタビューをしたときに、「スクワットを毎日1000回している」と話していました。それは凄い!と思い、どんな方法なのかを聞いたところ、実際に目の前でやってくれました。
その方法ですが、直立したまま少しだけ膝を曲げて腰を上下させていました。これは準備運動なのかなと思って、この後のことを聞いたところ、1セットが100回で、これを10セット行っているとの返答。準備運動ではなくて、これだけのことでした。100回の膝の曲げ伸ばしだけなら早ければ2分もあればできます。
筋肉運動を研究している立場からすると、これをスクワットと呼ぶことには抵抗感があるのですが、足腰を丈夫にして、いつまでも立てる、歩ける身体を維持しようと思ったら、本格的なスクワットを知っておいてほしいと思っています。直立姿勢から手を前に伸ばして、腰を徐々に低くしていって、大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)が水平になるまで腰を落とします。ここまで5秒の時間をかけ、水平のまま3秒止めて、次に5秒をかけて直立の姿勢に戻ります。背中を丸めないようにすることが大切です。
これを繰り返すだけでもよいのですが、直立に戻るときに膝を伸ばしきらないようにすることで、筋肉が緩むことがなくなり、負荷がかかり続けることから成長ホルモンが多く分泌されるようになります。成長ホルモンによって足腰の筋肉が増えて、その結果として筋肉による代謝も高まります。下半身には全身の筋肉の70%ほどがあります。1日に消費されるエネルギー量の70%ほどは代謝に使われますが、そのうち筋肉は35%ほどを占めています。筋肉が強化されれば、代謝エネルギー量も自然と増えていくということです。
日本メディカルダイエット支援機構ですすめているのは、筋肉トレーニングで終了ではなく、その後に歩くことです。筋肉トレーニングをすると筋肉の中に流れ込む血液量が増えて、取り込まれる酸素の量も増えます。その酸素を有効に使って、筋肉細胞の中で代謝される脂肪の量を増やしていくことができます。さらに、筋肉で作り出されるエネルギー量が増えることから成長ホルモンを使って、筋肉が太く、強くなっていくということです。