デトックスのための腸内環境調整

腸の中に棲みついている腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌に大きく分けられています。善玉菌はビフィズス菌やフェカリス菌、乳酸桿菌などの乳酸菌類が代表的なものとなっています。悪玉菌はウェルシュ菌や大腸菌、腸球菌、赤痢菌など数多くの種類があります。腸内細菌の総数はほぼ決まっていて、善玉菌が増えると悪玉菌が減り、逆に悪玉菌が増えると善玉菌が減っていきます。日和見菌は善玉菌が増えて腸内環境が酸性に傾くと善玉菌の味方をして、逆に悪玉菌が増えて腸内環境がアルカリ性に傾くと悪玉菌の味方をするようになります。
腸内で悪玉菌が作り出すアンモニアや硫化水素、スカトール、インドールといった有害物質は毒素とも呼ばれています。毒素は主には大腸に棲息する悪玉菌が作り出していますが、大腸は便内の水分を最終的に吸い上げる器官であり、毒素も水分の吸収時に吸い上げられ、血液中に入っていきます。
血液中に入った毒素は血管に入り、門脈を通過して肝臓まで運ばれます。肝臓は有害物質を分解して無害化する解毒器官で、通常の発生量なら毒素は肝臓で充分に分解されます。しかし、毒素の発生量が増え、肝臓に送られる量が増えると肝臓では処理しきれなくなります。その処理しきれなかった毒素は、再び血管に入って全身を巡るようになるのです。
そして、全身の血管を巡って皮膚細胞まで送られた毒素は、皮膚の状態に悪影響を与え、肌荒れや吹き出物の原因となります。便秘をして、肌荒れなどが起こっている場合には、相当に毒素の量が増えている可能性があります。悪玉菌によって発生する毒素の多くは腐敗臭のある有害物質で、便臭や体臭が強いのは悪玉菌が増えている証拠です。臭い毒素成分は大腸壁から血液中に入り、全身を巡っていくため、体臭や口臭を強くする原因にもなっています。
土の中の微生物は冬よりも夏のほうが発酵は進みやすくなっています。これは土の中の温度が高くなることで微生物が活動しやすくなるからです。そのために温かな季節が旬の野菜は、その季節には栄養成分の吸収もよくなっていて、これと同じことが腸の中でも起こっているのです。
日本人の腸内の温度は37.5℃ほどとなっています。血液の温度が37~38℃なので血液が多く送られている腸内は血液の温度に近くなっています。腸内の温度が高めに保たれていると善玉菌が増えやすくなり、温度が低めになってくると悪玉菌が増えやすくなります。というのは、悪玉菌は腸内が温まっていても冷えていても関係なく増殖するのに対して、善玉菌は高めの温度でなければ増殖しにくいからです。
腸内には約1000種類、1000兆個以上の腸内細菌が棲みついているとされています。腸内環境がよい人の場合は善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7の割合とされていますが、総数はほぼ決まっているので、悪玉菌が増えると善玉菌が減っていくことになります。
悪玉菌が作り出した有害物質は血液中を流れて、多くは解毒され、排泄されていますが、一部は細胞の中に侵入します。細胞は余分なものがない状態で恒常性を保つので、有害物質が増えると、これを分解するためにビタミンとミネラルが使われます。そのため、本来なら代謝に使われるはずのビタミンとミネラルが不足することになり、その結果、代謝は低下することになるのです。