ポストコロナ「急いで回れ」4

新型コロナウイルス感染症のような医療崩壊を覚悟しなければならない状況が来る、ずっと前のこと、厚生労働省の主導で行われた運動関係の団体の面々が顔を合わせる場で、当時の担当者が口にした「健康な患者を増やす」という言葉と、「元気な要介護者を増やす」という言葉を、今でも思い出します。
患者というと健康ではない人という印象ですが、新型コロナウイルス感染症で病院に入院した人が、命の選択(トリアージュ)をされたときに、基礎疾患がないこと、肥満でないことが受け入れるときの判断基準とされました。同じウイルス感染であっても、健康度が高い人は助かり、低い人は助からないという岐路に立たされることになりました。健康な患者が多ければ、それだけ緊急状態になっても治せる可能性が高くなるということです。
新型コロナウイルス感染症に限らず、生活習慣病の高血圧、糖尿病、脂質異常症が一つだけであれば動脈硬化による心疾患(心臓病)、脳血管疾患のリスクは低めであっても、二つ、三つと重なると急にリスクは跳ね上がります。こういった状況になってみると、「健康な患者を増やす」というのは重要な意味があることがわかります。そこで生活習慣病の予防と改善に役立てることができる健康ウォーキングを進めているのです。
「元気な要介護者を増やす」ということについては、介護施設に入る年齢になったときに、基礎的な体力、気力、そして認知機能が高い状態の人は、介護をする人の負担が大きく減ります。たとえ認知症になっても、寝たきり状態ではなくて、体が動かせる人は介護しやすく、そのサービス支援も充分に受けることができます。今後の超高齢社会の中での要介護者の増加を考えると、元気な状態で介護を受けるようになってほしい、ということで、これも健康ウォーキングによって基礎的な身体状況を実年齢に比べて高く保つことが重要だと考えています。
体力の低下と生活習慣病が重なった人のことを考えると、健康ウォーキングによって両方ともに良好な状態に保つことができれば、相当の貢献ができると感じて、そのためのスタートを「急いで回れ」の覚悟で進めているのです。