“人生は一生勉強”の教え

「勉強をするのは学校だけではない、学校以外でも学び続けなければならない」ということを言い続けていたのは父でした。今では学校以外にも学習塾や習い事があって、これは学校以外ということになりますが、そのことを言っているのではなくて、卒業してからも学ぶことが大切という教訓的な話です。
私が健康関連の講習の最後の言葉として使っているのは、父の教訓ではなくて、学園ドラマの「金八先生」で主人公が卒業式のときに生徒に向かって話した「これまで教えたことは全部ウソです」という言葉です。ドラマでのセリフとはニュアンスが違うのですが、医学や科学などに関する知見は、常に変化をしているもので、前に常識として覚えたことが数年を経ると古い話、間違った話にもなりかねません。
だから、これまで学んだことを常に振り返り、疑ってもかかって、最新情報に更新することをすすめています。そのために、私どもの講習には、終わってからの定期的な情報発信がセットとなっています。これは“小さな親切”で始めたことですが、たまに“大きなお世話”と言われてしまうこともあります。
父の口癖は、もう一つあって、「人生は重荷を背負いて遠き道を行くがごとし」です。
これは卒業してからの勉強は楽なものではなくて、むしろ卒業業のほうが苦しいこともある、ということを言いたかったようです。父は昇進試験がある公務員だったので、定年退職までは学び続けで、上の昇進試験ほど困難度が高まるので、実際には家庭で勉強をしている姿が目に焼きついています。
父が言っている意味を知りたくて、徳川家康の遺訓を後になって勉強してみたら、意味合いは同じでも言葉そのものは違っていました。だから父親がどうのこうのというのではなくて、子どもにわかりやすく伝えようとしただけのことです。
徳川家康の遺訓として伝えられているのは、「人の一生は重荷を背負うて遠き道を行くが如し。急ぐべからず。」です。これが多くのシーンで使われることが多いのですが、これには続きがあります。東照公御遺訓を引用すると「不自由を常とおもえば不足なし。こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え。勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる。おのれを責めて、人をせむるな。及ばざるは過ぎたるよりまされり。」
現代用語風に変換していますが、なんだかコロナ禍で我慢を強いられて、不満を口にする人が多い今の時代にこそ、思い起こしたくなるところです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)