発達栄養学122 野菜が食べられない子どもの対応6食物繊維の話

発達障害による極端な偏食のために野菜が食べられないという子どもは少なくありません。しかし、そのほとんどは特定の苦手な野菜があって、その苦手とすること(見た目、味、食感など)を料理で手を加えることで改善できます。ところが、中には野菜全般が食べられなくて、かろうじて食べられるのはイモだけということもあります。そのイモも食物繊維が多く含まれるサツマイモではなくて、食物繊維の量が少なめのジャガイモという例もあります。
こうなると食物繊維を、なんとかして摂取する方法を考えなければなりません。保護者の中には「食物繊維は消化も吸収もされないので必要ないのではないか」と考えている人や、食品のグループ分けは知っていても、それが体を作るもの、エネルギーになるもの、体の調子を整えるものとされていて、食物繊維は、どれにも当たらないと考えている人もいます。
食物繊維は以前は食品のカスのように考えられていた時代もありましたが、腸内環境を整えることの重要性が認識されるようになって、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルに次ぐ“第六の栄養素”とされています。
野菜が食べられないために食物繊維が不足していると、その役割としての腸壁の刺激、便の量の増加といったことが得られなくなります。食物繊維は胃では消化されず、小腸は形を変えずに進んでいきますが、大腸では腸内細菌によって分解されて糖質になります。そして、腸内細菌の善玉菌が糖質を栄養源(エサ)としていることから、善玉菌の働きを高め、善玉菌を増やして便通をよくすることができます。
食物繊維は、そのままの形で胃と小腸に存在する不溶性食物繊維と、水分を吸って膨らむ水溶性食物繊維があります。不溶性食物繊維は便を硬くする作用がありますが、水溶性食物繊維は水分を吸うことから便を軟らかくする作用があります。水溶性食物繊維が多く含まれる海藻、きのこ、果物が食べられるなら、この点はクリアすることができます。
それも食べられないという場合には、善玉菌の中でも代表とされるビフィズス菌の栄養源となるオリゴ糖を摂ることがすすめられます。オリゴ糖は糖ではあっても、胃での消化も小腸での吸収もされずに大腸まで運ばれます。