体質との調和5 健康法が逆効果にもなる

体質を研究する東洋医学では、「体質によって薬は毒になる」という考え方がされています。薬は健康を維持するものである反面、健康を害するものにもなるということですが、西洋医学の治療薬の使用で指摘される副作用とは違っています。副作用がない(とされる)漢方薬であったとしても、体質に合わないと、どんなに優れた薬理効果があっても健康被害を与えることになるということです。

例えば、冷える体質の人には身体を温める作用がある漢方薬は身体を温かい状態に修正して、徐々に健康状態に近づけていくことができます。ところが、身体が温かい体質の人が身体を温める作用がある漢方薬を飲むと、身体が温まりすぎて体調を崩すことがあります。

東洋医学では健康は中庸(バランスが取れた)の状態が保たれることで、体内の水分の多少、身体の強弱(虚証、実証)も中庸がよい状態とされます。虚証は不足している状態、実証は過剰な状態を指しています。

体温では温・冷と中庸で3タイプに分けられ、それが3種類の場合では、「3×3×3」で27パターンとなります。最も健康的とされる、すべてが中庸な人は少なく、ほとんどは偏りがあって、それが体調不良の原因になっているというのが東洋医学の発想です。

体質のパターンは、このほかにも複数があって、1つ加わるごとに3倍になっていくので、同じ人はいないというような状態になります。それなのに、一つの健康法がすべての人の健康づくりに役立つという考え方が正しいのか、疑問が生じするところです。

東洋医学的な体質だけでなく、体温、血流、水分量、エネルギーの発生量などは個人で違いがあることを考えると、それぞれの人に合った方法を示すことが重要になります。千差万別の方法を実施することは難しいとしても、少なくとも違いがあり、どんな健康法も個人によってはリスクを高めることになるということを認識して、変化に気を配りながら実施することが必要だということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕