健康づくりのための伝統というと、食文化を継承している日本食、その調理をする料理人というのが一般的なイメージかもしれません。この伝統的な食は、もちろん健康を維持、増進させる安心、安全な食品であり、調味料なども厳選されたものを期待するところです。
それを作る料理人も、その店で働く人たちも、健康のための食であるなら、自身も健康であってほしいと願っています。その食品を作る人も、産地から料理店に運ぶ過程に関わる人も健康であってこそ、初めて健康づくりの食は完成するものと考えています。
それだけ食品には強い関心を持ち、食品を育てる農地、栽培法にも健康を意識して取り組んでほしいところですが、生産性重視、価格重視のために、必ずしも健康な状態の食品にはなっていないものがあるという実態があります。
安心して食べることは、おいしさと並んで、食品に含まれている栄養素を効果的に吸収するためには必要なことです。心理的な要素によって吸収率も変わり、体内での代謝も変わってきます。
ストレスを感じる状態、好まない食事環境、おいしさを感じにくい彩りでは、消化液が少なくなり、栄養素の吸収率が低下することも研究によって明らかにされています。
食器も重要で、食器によって、おいしさの感じ方も違い、身につく食べ物にする力が食器にはあります。その食器を製作する方にも健康であって、健康に役立つ食器を作り出してほしいと願っています。食器も伝統を維持して、食に貢献しています。
心を落ち着かせて食べることは、優れた食品を身にすることにも大切です。しっかりとした伝統を継承するための制度として、日本には家元制度があり、伝統の基本は守りつつも、時代に合わせて変化をさせてきたことがあります。その伝統の維持にも健康の維持は必要だと考えます。
お茶の世界と道具(茶器)の世界は、持ちつ持たれつで、ともに発展するように支え合うのが家元制度の伝統として今も伝わっています。それと同じように、食に関わる世界も関わるすべての人が支えあい、国民の健康レベルを高めるために、自らの健康レベルを高めるように励んでほしいのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)