健康づくりを考える「予備群」と「予備軍」

テレビ番組やコマーシャルを見ていても、また雑誌などの記事を見ていても、「予備軍」という用語が出てきます。これが元の意味の予備の軍隊を指すために使われているなら何も取り上げる必要はないのですが、病気を防ぐための用語となると違和感があるという人も多いかと思います。

医学の世界では「予備群」が使われていて、リスクが高い人の集団を指しています。メタボ予備群、糖尿病予備群といったように使われています。

元は「予備軍」から転じたと辞書にも書かれて、「予備群」は俗用扱いされています。しかし、健康や医学に関わることを示すときには「予備群」が正解で、「予備軍」は変換ミス、校正ミスと考えられるようになっています。

ただ、「予備群」という表記は、「リスクが高いから注意しましょうね」と言われている感じがして、「あなたは予備群です」と医師から指摘されても、真剣には受け止めない人も多くいます。

生活習慣病は、初期段階では特徴的な症状も現れず、見逃してしまうことも少なくありません。糖尿病は血糖値が大きく上昇しても身体的に症状が現れることは少なくて、よほど注意をしていれば尿の色が変わった、排尿時の泡が多くなったということに気づくことができます。

そうでないと、痛くも痒くもないのでスルーしてしまいがちです。痛みや痒みが出たときには、糖尿病が進行して合併症を起こしている段階で、こうなると簡単に治療することはできなくなります。

このような困った状態を“敵”だと考えれば、それと戦う準備をすることが大切で、そういった「予備軍」の状態にあるということを意識させるために、あえて「予備軍」のほうを使う意味があるという考えもあるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕