健康デザイン28 食事と運動のタイミング

健康づくりの基本である食事と運動は、エネルギー量のバランスが言われることが多くなっています。食事で摂るエネルギー量と運動で消費されるエネルギー量のバランスを取ることで、適正な体重、適正な体脂肪を保つことが指摘されます。

これは食事の摂取エネルギー量と運動の消費エネルギー量を比較(プラスマイナス)することを指していますが、消費エネルギーは運動に使われるエネルギー量だけで決まってくるものではありません。

食事と運動のタイミングによってエネルギー代謝が異なり、体脂肪の蓄積・減少にも栄養を与えます。タイミングというのは、食事と運動の、どちらを先にするかということです。

食事前の空腹時に運動をすると、エネルギー源である血液中のブドウ糖(血糖)が不足していることから筋肉に蓄積されているグリコーゲンが分解されて、ブドウ糖が血液中に放出されます。グリコーゲンはブドウ糖が鎖状に結びついた蓄積型のエネルギー源で、筋肉には多く蓄積されています。

食事をすると、肝臓ではブドウ糖を結合させてグリコーゲンを合成させますが、運動によって多くのグリコーゲンが分解された後には、肝臓で合成されるグリコーゲンが増えます。このグリコーゲンは筋肉に取り込まれていきます。

グリコーゲンが増えると、その分だけブドウ糖が減って、血液中のブドウ糖が少なめになります。血液中のブドウ糖が増えると、これを全身の細胞に取り込むために必要なホルモンであるインスリンが膵臓から分泌されます。血液中のブドウ糖が少なめになると、インスリンの量も減るようになります。

インスリンには肝臓での脂肪の合成を促進させる働きもあるので、インスリンが多くなるほど脂肪合成が進み、この脂肪が脂肪細胞の中に体脂肪として蓄積されていきます。空腹時の運動は筋肉を増やし、体脂肪を減らす効果があることから、健康デザインによる健康増進のために活用をしています。

食後の運動は、体脂肪を適度に増やすものの、筋肉が動くことによってブドウ糖が使われ、体脂肪の合成を抑える効果もあります。空腹時(食事前)の運動に比べると効果は低いかもしれませんが、食事前に運動ができない人には、こちらの方法もすすめられています。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕