健康リテラシー3 医師の健康リテラシー

「医師から言われたことを理解するのは難しい」と言われることがあります。そのようなことを実際に感じている人も少なくないかと思います。

この「理解するのは難しい」というのは、二つの意味合いがあります。一つは、医師が使う専門用語がわかりにくく、聞いたときには理解したつもりでも、実際にはよくわかっていなくて、何を指示されたのかわからない、どう実施すればよいのかわからないということも起こりがちです。

医師と患者の意思疎通が充分でないことが、さまざまなトラブルの原因であることがよく言われますが、意思疎通ができない原因は、何も難しすぎる医療用語にあるだけではありません。

ネット検索をすれば、専門用語も簡単に知ることができて、何を意味しているのかもわかります。医師から聞くことというと疾患の種類や状態、改善や治療のための医薬品や手術などが始まりですが、その次に聞きたいのは医学的な治療内容の詳細ではなくて、日常生活で何をすべきかということです。

何をすれば症状を止めて、改善することができるのか、今後の発症を予防することができるのかということで、そのために特に求められるのは食事と運動についての指導です。食事については、どんなものを、どれだけ、どんな周期で食べればよいのか、ということです。

そのための指導は“栄養指導”といいます。栄養指導をして保険点数がつくのは、医療機関の管理栄養士だけで、医師が栄養指導をしても保険点数がつかない医療制度となっています。栄養指導をして患者の健康づくりに貢献したくても、収益にならないので実施しにくいのが今の制度なのです。

運動についても同じことで、医療機関で運動指導をするのは理学療法士や健康運動指導士などで、医師は運動指導をすることはありません。指導といっても「積極的に歩くように」と言うくらいというのが実際のところです。

健康の維持増進を望む人の多くは、情報収集に積極的ですが、正しい情報を見抜くことができなければ情報過多の状態に振り回されることになります。それを正してくれる専門家として医師に期待が寄せられるところですが、その期待がかなえられないのは医師養成の大学の講座内容も関係しています。

このことについては、次回に説明させてもらいます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕