健康・火の用心50 世間の注目の的は脚光を集める?

健康づくりには他人の評価も金銭的なメリットも関係ないという考えがある一方で、継続にはモチベーションが重要ということで、そのための手段として周囲に注目され、褒め称えられることは健康づくりを達成させるためには必要なことだと考えられています。

この注目されて評価を受けることを表す言葉として「脚光を浴びる」と「脚光を集める」という2つが使われることがあります。本来の使われ方は「脚光を浴びる」で、「脚光を集める」は間違いです。

この脚光に続く言葉としては正しい使い方をする人が多くて、文化庁の「国語に関する世論調査」の結果でも、すべての年代で正しい使い方をしている人は、誤用している人よりも多くなっています。

ただ、現在の「目立ってナンボ」という風潮の中では、脚光は浴びるまで待つものではなくて、自ら集めるものという考えの人が増えてきても、ある意味で当たり前のことと言えます。

健康づくりに関連する脚光の話をすると、ウォーキングは医療費を下げる効果があり、1歩当たりの金銭的なメリットも計算されています。1歩の利益、1人当たりの利益は少なくても、自治体の中で1000人が1日あたり1000歩の歩数を増やすと、年間では医療費は数千万円という金額になります。

これこそ脚光を浴びる取り組みだと思うのですが、やることは歩くだけ、住民に呼びかけるだけということで、脚光を集める行動ではないとして、歩く価値を説明しても取り組まない、それどころか検討もしないという自治体も多くて、力説するのを途中でやめたという経験があります。

注目されるから始めるのではなく、行動を起こした結果として注目され、脚光を浴びるのが正しいことだと思うのですが、そうは考えない人も多くいるということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕