健康寿命延伸のための提言38 提言のエビデンス4体格3

国立高度専門医療研究センター6機関(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター、国立長寿医療研究センター)が連携して、研究成果として「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」を公開しています。提言のエビデンスの解説(第3回)を紹介します。
「日本人の食事摂取基準」(2020年版)で目標とされているBMIの範囲の下限は、18〜49歳で18.5kg/㎡以上であるのに対して、50〜64歳では20.0kg/㎡以上、65歳以上では21.5kg/㎡以上となっています。これは高齢期になると標準体重範囲内でもBMIが低くなるにつれて死亡全体のリスクや生活機能低下のリスクが高くなることが報告されているためです。
フレイル(虚弱)の予防と生活習慣病の予防の両方を考慮すると、高齢者ではBMI21.5以上30未満が望ましいとされています。中年期の肥満予防から高齢期では低栄養、フレイル予防への栄養摂取の考え方をギアチェンジする必要があります。なお、高齢者では身長が低くなる傾向があるため、BMIのみで体格を評価できない場合があります。
幼少期は、やせも体重過多も喘息や尿路感染症など一般的な小児急性疾患の重症化につながりやすいことが報告されています。日本人においても同様に、やせも体重過多もインフルエンザ感染症や喘息の重症化につながりやすいことが報告されています。
幼少期の体重過多は、成人期の肥満のリスクを増加させます。肥満児童が肥満を改善するプログラムに参加すると、肥満の改善だけでなく、血圧、血中コレステロール値および血中中性脂肪値が改善することがメタ解析で報告されています。